私の知り合いの中のさらに一部にしか読んでもらえ無さそうな記事だけど。
そもそもの経緯
2012年春に(以前からやってみたかった)起業をしてみようと思い、会社をやめたものの何をしたらよいか分からず、とりあえず色んなイベントに参加したりベンチャーキャピタルが主催する合宿に参加したりしていた。
そうしたら知り合いも結構出来て、会社員をしていたときよりも色んな人とコミュニケーションを取るようになって人生のQOLが上がった。
自分がやりたいのは、大好きな数学や物理学とコンピュータ・サイエンスを使って儲かるソフトウェアを作ることで、2012年当時、それがいちばんできそうな分野はアドテクだった。VCの主催する合宿でも、チームを組んだメンバーがアドテク推しだったのでそれでプレゼンしたらそれなりにウケた。
というわけで、合宿後もアドテクを独学で色々調べて、クッキーマッチングとかリターゲティング広告とかRTB(Real Time Bidding)の仕組みなどを調べて、一応アドテクやってますという会社を作ってみた。
フリーランスとして定期的に稼ぐ状態まで
同じ時期に起業した知り合いたちは、VCからの資金調達をした人が少なくなかった。私もVCの方に定期的にミーティングをしていただいて、事業計画を考えたりしていた。
しかし、私の能力的に、出資を受けることは出来なかった。
私にとって、儲かりそうなプランを考えれば考えるほど、私の大好きな数学から離れていくので、起業した動機に忠実であろうとするほど、儲からなそうなプランばかりプレゼンしたくなってしまうのだ。
その反動で、私はVCからの調達とは逆の方向、すなわちフリーランスとして日銭を稼ぐ方向に注力した。新しい技術のサーベイをして、勉強会で知り合った人に自分をアピールし、定期的な契約をもらってフリーランスとして稼ぐ、というのを2年ほど積み上げていった。
その結果2014年春〜2016年春くらいまで、定期的に毎月170万円ほど稼げるようになった。
フリーランスの仲介会社を通さなくても、ゼロから半年でそのくらいまで持っていく営業のノウハウを見つけた、という手応えがあった。
割のいい時給コンサルを断つまで
それでも、フリーランスとして稼ぐのは基本的に「単価の高い時給アルバイト」である。一番高かったのは時給4万円、安かったのは時給5千円。
しかしそもそも自分で事業を起こしたくて起業したのだ。それなのに、自分の時間を切り売りしている自分が嫌になった。
自分は独身でプライベートではお金を殆ど使わないため、大学生のアルバイトを集めて「ドローンのソフトウェア」という2014年〜2015年当時ちょっとバズり始めたことをやってみた。プロダクトは全然作れてないにも関わらず、展示会に出展してみたりもした。
それを元に引き合いを辿った結果得られたのは、「さらなるコンサルティング案件」だけだった。つまり、私のフリーランスとしての時給ビジネスに対する引き合いが増えた、という結果だった。
それでは自分で事業をする意味がない、と思ってそれらの引き合いは全て断った。
さらに、アドテク関連や、その延長で取れていたフリーランスデータサイエンティスト的な定期案件も全て自分から契約打ち切りを申し出た。
それでも、受託開発の案件がちょこちょこ入ってくるので、食うにこまることはないかな、という状況だった。
そんななか、アルバイトの学生たちも、学業に専念したいとか、他にもっと面白そうなアルバイト先があって誘われたとか、そういう理由で辞めていってしまった。
プリファード・ネットワークスの衝撃
そうやって、独立して改めて自分の無能さに直面する日々の中、プリファードネットワークスという会社の存在を知った。衝撃的だった。
「私がやりたかったのは、こういうことだ。」
本気でそう思った。しかし、私には学術的にもビジネス的にもトラックレコードがなく、プリファードネットワークスに応募してもスキル的にも門前払いなのは火を見るよりも明らかだ。
「プリファードネットワークスで働けるほど、自分にスキルがあったらなぁ。。。」
って、本気で思った。
そんな気持ちを持ちつつ、日銭を稼ぐために受託開発や単発の機械学習コンサルなどをする日々。このときは月商で70万くらい。
なんかもう、なにもかもイヤになってしまった。(2018年の秋ごろ)
ニート生活の満喫その1
それで現実逃避して、仕事をせずに引きこもってパソコンでゲームばっかりする生活を始めたわけだが、ちょうど2018年の秋にsteamで正式リリースされたRimworld(リムワールド)というゲームにハマりまくった。
これは本当に面白くて、いわばシムシティに経営シミュレーション要素を加えたようなゲームで、のべ2800時間くらい遊んだ。
朝起きる、ご飯を食べずにリムワールドを深夜までやる、コンビニに行って食事を買ってきて食べる、風呂入って寝る、という生活を1年ほど続けた。
そうしたら、流石に飽きてきた。それで、別のゲームをやってみた。(2019年秋くらい)
ニート生活の満喫その2
リムワールド以外にも面白いゲームがいっぱいあることが分かった。
その中でも、「Stellaris(ステラリス)」「FTL」「Oxygen not Included」という3つのゲームにはマジでハマった。この3つに掛けた時間は合計1500時間くらいかと思う。
そんなゲーム三昧の日々の中、ヤバいゲームに出会ってしまった。それが、「Outscape(アウトスケープ)」というゲームである。(2019年冬)
このゲームは、いわゆる宇宙を舞台とした「シムシティ+経営シミュレーション」であり、しかもオンラインでライバルたちと競い合うという抜群の中毒性を備えていた。これはいわゆるインディーゲームで、全世界で(たぶん)5000〜10000本くらいしか売れてない超マイナータイトルだった。
アクティブユーザ数も500〜1000人程度なので、ちょっと頑張れば世界一になれるゲームだった。それで私は世界一を目指すことにした。
アウトスケープには、のべ2900時間くらい使った。
しかし500人の中でトップに立つのはそんなに簡単ではなかった。半年くらい寝食を忘れてやった結果、2020年7月上旬、ついに私はトップに立つことが出来た。それも、ゲームの複数あるランキングで二冠を達成する(それは500人のうち2人しか達成してない)という小さな栄誉も勝ち取った。
皮肉な話、それは2012年に起業して以来、もっとも自分の承認欲求が満たされた瞬間だった。
ニート生活その3
そのゲームはインディーゲームなので、ゲームのバグ報告や改善要望などをDiscord(ゲーム向けのチャットサービス)やオンラインフォーラム(いわゆる掲示板)で行うコミュニティがあった。
私は拙い英語力にもかかわらず、そこでのコミュニケーションにもハマった。英語で海外のゲーマーと議論したり一緒にゲーム上でアライアンスを組んだりするのは本当に楽しかった。
英語力を補うために、グーグル翻訳やDeepLというサービスを使いまくった。自分の英語力はTOEIC600点くらいなのだが、ネットの翻訳サービスを使えば簡単に海外の人とコミュニケーションが出来てしまう、そういう時代になったことも驚きと楽しさを感じた。
しかし、2020年夏ごろ、それも飽きてしまった。
それで、大好きだった「数学や理論物理学の独学」というのを再開した。貯金はまだ2年くらいニートできるくらいあったので、呑気に仕事せず毎日数学の勉強をする日々が続いた。
よく分からなかったガロア理論も、リーマン幾何学と一般相対性理論も、熱力学や統計力学も、場の量子論も、ネット上に落ちてるPDFや最近出ている入門書籍を買って読んで、案外難しくもないと分かった。
しかしそうやって自分の数学力が上がるに連れて、中学生の頃に夢みた、「フェルマーの最終定理の証明」や「超ひも理論」を理解するレベルまで到達するのに必要なレベルも分かってきた。自分がそのレベルに到達するには3〜4年くらい掛かりそうだ、と。
そうすると、自分の残りの貯金額ではその夢を叶えることが出来ない。やばい。
それで、今年(2021年)の年明けくらいから、何やって稼ごうかな〜と仕事のことを考え始めた。
今やっていることと将来の夢
約2年半、ベンチャー界隈のことも、ビジネスのトレンドのことも、まったく興味なく、キャッチアップもしていなかったので、自分の知識は時代遅れになったんだろうなと思いつつ、色々とググってみた。
それで分かったことは、世の中はあまり進歩していなかったということだった。
はっきり行って、時代についていくとか、何かにキャッチアップするとか、そういうことはまるで意味がないと思った。
意味があるのは、なんかプロダクトやサービスや企画を作って実際に人にぶつけてみること、それだけだと思った。
セミナーも、教育も、勉強も、ビジネスプランコンテストも、ピッチイベントも、何もかも意味がないと思う。
けっきょく、市場から情報を得るには、何か作ってぶつけてみる以外の方法がないのだとマジで実感した。
フリーランスを頑張っていたころのマインドにはもう戻りたくない。何かを作ってぶつけて、っていうのをひたすらやるマシーンになりたい、と思う。
そういうわけで、思いついたサービスをプロトタイプとして作り始めた(2021年3月〜)
それで一生遊んで暮らせるカネを作って、生活コストの安い田舎に移住して、「フェルマーの最終定理」や「超ひも理論」を理解できるレベルに達したい。
それが今の自分の夢だ。