小説家になるために(1)

表題のテーマ、不定期連載エントリとして今後やっていきます。

 

就職が決まり、入社まで少し時間があるので以前から取り組んでみたかった「小説を書く」にチャレンジすることにしました。

 

とりあえず作品を書かなければならないわけですが、ただ気ままに文章(ブログ)を書くのと違って、小説を書くには色々と自分の持っている文章スキルでは足りないところがたくさんあるようで、

  • 課題の発見(ハードルの存在に気づく)
  • 課題の解決(ハードルを越える)

という2つをグルグル回して足りないスキルを獲得しながら書いていくのがよさそうです。

 

取り組みを始めてから順次得たものを本ブログに陳列することで、後で振り返ったときに懐かしみを感じたり、同じく小説家を目指す仲間との交流のネタにしたりしたいなって思います。

 

[1] 舞台設定(背景、登場人物、世界観)と物語のプロット

通常ブログでエントリを書くときは、もう既に自分の中に何らかのネタや、ぼんやりとしたテーマがある場合が殆どです。

 

しかし小説となると完全に創作となるため、何らかの題材を用意する(でっち上げる)必要があります。で、それには2つのアプローチがあると思いました。

  • 自分の経験や考えや価値観から醸成される「何か」を題材化する
  • 時世、世情、社会情勢、時流といった「いま」を題材化する

前者は純文学としての色合いが強く、後者は大衆文学に向かう感じでしょうか。

 

私の場合は、前者でテーマを構想したかったのですが断片的なアイディアはいくつかあるもののそれらを大きな一つの物語に結実するイメージが湧かなかったです。おそらく、この前者は表現力、描写力といった小説に不可欠な文章力や、長編を一度でも書ききった経験等がベースとなって初めて成立するアプローチなのではないかと感じました。もちろん単一もしくは数個のアイディアをもとに短編を書くという方法もあるのかもしれませんが、それもなかなかハードルが高いです。

 

なので、後者のアプローチで中編くらいの規模のものを書こうと思いました。ネタとしては、晩婚化、現代の恋愛と結婚観、男性と女性のジェンダーステレオタイプの喪失、ロボットが普及する社会、自律とキャリア、癒しと甘え、といったパーツについて自分が持っている考え方を盛り込んで一つのストーリーに仕立てるプロットを作りました。

 

きっとスキルが高まれば、自分の価値観とは異なる価値観に基づいて題材をアレンジしたり、いまの社会情勢とは異なる世界線での物語を描いたりすることが出来るようになるのかもしれませんが、それには大分修行が必要そうです。

 

[2] 書き出しの面白さ

これはブログでもそうですが、読み始めが面白くないと読んでもらえない、という厳然たる事実です。

 

文学新人賞の公募には多くの作品が応募されますが、審査員はすべてを読む時間がありません。なので、読み始めでグッと読み手の心をつかむ必要があります。

 

これは広く一般の人に作品を読んでもらう時も同じことでしょう。読者は最初の数ページを拾い読みしてみて「面白そうだな」と思ったらその本を買って読んでくれることが多いでしょうから。

 

それを意識したうえで、最初の400字とかを書こうとしてみたのですが、イマイチ面白くならない。

 

そこで、じゃあプロの小説家はどうやってるんだろう?と思ってブックオフに行って小説コーナーでいくつかの本の書き出し部分を吟味してみました。それで分かったことは、

 

面白い小説は、最初に「何かしらの事件」が起きている

 

人がどんなとき「面白い」「興味深い」と感じるかといえば、何か普段は起こらないような特別なことが起きてる場合です。つまり、イベントや事件が起きてる時です。

 

他にも、読み手を引き付ける「恐怖」「喜び」「英雄譚」「仲間意識」「恋愛・性愛」といったトリガーはあります。しかし、これらはある程度舞台設定が整って読み手を世界に引きずり込んだ後でないと提示することが出来ません。

 

小説の導入部分では読み手は「何も知らないゼロの状態」なので、メインディッシュをいきなり出そうとしても無理なわけです。かといって、平凡では読んでもらえない。

 

なので「素晴らしい前菜」が必要で、自分にとって最もハードルが低そうな方法が(些細なものでもよいから)「何らかの事件」を埋め込むという方法です。

 

これで書き出し部分の方針がかなり固まりました。

 

[3] 人称の滲み/使い分け

小説の中の文は、「」(カギカッコ)でくくられた発話の部分と、普通に叙述されている部分に、大きく分けられます。

 

発話の部分は人称がハッキリしてますが、叙述部分では「完全に3人称」で書かれることもあれば「3人称なんだけど主人公の心理描写を代弁」していることもあるし、「完全に1人称」で心理描写されることもあります。

 

純粋な読み手として小説を読んでいるときは、それらの人称と表現の違いはあまり意識することは無いのですが、小説を書こうとするとそこの部分をうまくスイッチしながら使い分けていく必要性を感じます。

 

これについてもブックオフで立ち読みして、プロの作家の書いた巷の小説を吟味してみたのですが、かなり千差万別で(むしろそれが作風だったり個性だったりもする)、画一的な正解がなさそうに思いました。

 

恐らく描きたいシーンのタイプごとに人称の使いこなし方のノウハウみたいなものを、いろいろな小説からテクニックとして拾い集めるような作業がこれから必要になっていくと思います。

 

なのでこの部分については「ハードルは発見したがまだ超えてない」というのが現在の私のステータスです。

 

というわけで

パート(2)に続きます。それまでにスキルを上げていきたい。

ではまた。