赤字国債に対する誤解

デフレが続いて久しい我らがニッポン。

 

所得を上げないことにはデフレ解消は難しいのでしょうが、そのためには需要を作りださねばならず、そのためには中央政府による公共投資が不可欠です。

 

それに対するよくある懸念点は

 

「それはわかる。でも、大きな財政赤字を抱える今の日本政府が、さらに赤字を増やして大丈夫なのか?」

 

というものです。私の持つ知識の上での結論をいうと、「大丈夫」です。

その理由を超簡単に説明しましょう。

 

[1] 貨幣(日本円)の発行は、発行母体(日銀)の負債である

まず、日銀が1万円札を発行するとき、それは日銀の負債になると言う当然の事実を思い出しましょう。負債があるとき、通常はバランスシート上はそれを相殺する資産がなければなりません。

 

ではその日銀にとっての資産とは何か?その答えは、主に「国債」になります。

 

細かいところで色々あるのでしょうけど、ざっくり言えば、日銀のB/Sは左が国債、右が日本銀行券で釣り合っている、と考えてよいかと思います。

 

[2] 通貨発行権を持つ政府の債権は、貨幣の発行とほぼ等しい

したがって、日本政府が(赤字)国債を発行するとき、その主要な買い手は日銀ですから、結局のところ日本の財政赤字というのはどれだけの量の貨幣の発行を行なっているかとほぼイコールだと考えて問題ないと思います。

 

もちろん実際には、発行される国債は一般の民間銀行に買われ、それがさらに民間企業や一般家計に渡ることもありますが、多くは銀行が保有し、それを適宜日銀と売り買いすることで流通するキャッシュ量(マネタリーベースと言います)を政府が間接的にコントロールする形をとります。つまり、

 

国債⇄(マネタリーベース調整機能)⇄日本銀行

 

というややこしい形になっているのですが、本質的には「国債日本銀行券」なのです。

 

政府のマクロ経済コントロール機能を実現するために、直接ではなく間接的に結びついてるだけなのです。

 

[3] 革命リスクとハイパーインフレ

そうすると、残る心配は貨幣を発行しすぎて信用が破壊されてハイパーインフレが起きてしまうことでしょう。これに対しては、

 

通貨発行権を持つ中央政府の元では、革命リスクがない限りハイパーインフレにはならない

 

ということに注意しましょう。いつ日本銀行券が信用を失うのか?と言えば、それは日本政府や日銀の信用がなくなった時です。で、そうなるのはどんな時かと言えば、日本で革命が起きて日本政府や日銀が無くなった時です。

 

日本政府は1868年の明治維新以来、今に至るまで150年以上、権力を維持しています。この先数十年もたぶん、革命が起きることはないでしょう。

 

なので、現在の日本政府を信任する限り、どんなに赤字国債を発行し(=どんなに日本銀行券を刷っても)、どんなに財政赤字が膨らんでも大丈夫です。

 

国債の償還期限は60年とかですが、償還期限が先のものと交換してあげるだけで何も問題ありません。

 

私は、それが真実だと思っています。