日本の起業家を増やす超簡単な方法

大学で理系の学部を卒業すると、そのまま大学院(修士課程)で+2年研究や勉強をする人が結構多いです。私もそんな学歴を持つ一人です。

 

どうしてそういう選択肢を採る理系学生が多いかというと、多くの大企業での新卒採用の慣習上、修士卒にも「新卒チケット」が与えられているからです。そして、学部卒よりも少しだけ待遇が良いです。

 

生涯年収で比較すると、修士まで出たほうが少しプラスになるという「広く信じられている試算」があって、それが大学院修士課程への進学を後押しする強い要因にもなっています。

 

しかし、私が大学院生だったころ、2つ学年下に凄く賢い後輩がいました。彼は大学院には進学せず、その後NTTデータに買収された数理システムという会社に学部卒で就職していきました。

 

彼の卒業論文はとてもコンパクトですっきりしていて、特段に研究のレベルの高さを感じさせる内容ではないものの、社会が求めている品質(この場合は学部生の卒業研究としての結果)を見極めて必要十分にそれを満たす、という「仕事のセンス」を感じました。

(ちなみに同じ学年でもう一人超絶研究できるスーパー後輩もいましたが、その人は(当然ながら)修士課程に進みそれで高いレベルの研究をして学会で賞もとって確かグーグルに就職したはず。しかし僕が気になった後輩は学部卒でむしろ数理システムに就職していった彼の方でした。)

 

追いコンの飲み会で私が彼に

 

「どうして修士課程に進学しないの?」

 

と聞くと、

 

「本当は高校も行きたくなくて中卒ですぐに社会に出て働きたかったけど父親が東大卒でどうしても大学までは卒業しろと強制されたので仕方なく大学までは卒業することにした」

 

という答えでした。

 

生涯賃金とか社会の慣習とかとは独立に、自分の経済的な自立を大事にしている強い価値観を感じて、「この人は賢いなぁ〜」と思いました。

 

それで表題の件に戻りますが、学部を卒業してからの2年間、大学院というのは勉強ではなく「研究」をするためにあります。

 

なので、研究が得意で凄くできる学生には良い期間となりますが、そうでない(当時の私のような)学生にとってはほぼモラトリアム期間になってしまったりもします。

 

そこで、学部卒からの2年間は、起業したら2年で廃業しても「修士卒待遇」で採用するという制度を採用するのはどうでしょう?

 

いま日本の大企業が求める理系人材とは、世界の知の最先端を切り開くことのできる「研究者」か、技術を使って新しい事業を起こすことのできる「エンジニア起業家」の2種類なのではないでしょうか?

 

22歳〜24歳の2年間を親の経済的支援の元で生活費を保証してもらいながら何かサービスやプロダクトを作って売ってみる、というのはかなり良い経験になるんじゃないかと思います。

 

それでグノシーみたいに本当にヒットするサービスが作れたらそのままスケールさせていけばいいし、うまく行かなかったら2年で廃業して新卒チケットを使って大企業に就職すればいい。

 

ノーリスクハイリターンな条件を作って上げれば、めっちゃくちゃ起業する理系学生が増えるんじゃないでしょうか?