最近ニート(プラスな言葉でいうと悠々自適フリーランス)をやめて会社に入って、
「生活スタイルやワークスタイルが変わったのに、すぐ対応できるものですか?」
ってことをよく聞かれる。
この問いにちゃんと答えるのはすごく時間が掛かるのでいつも適当に返事して誤魔化しているのだが、本記事でちゃんとした返事を書いておこうと思う。
そもそも、自分が2012年に独立・起業したのは「数学やアルゴリズムを駆使してスーパーコンピュータやロボティクスのソフト開発において技術的な付加価値を出して稼ぐ」という「一番やりたい仕事」にサラリーマンの立場で就くことが出来なかったからだった。
グーグルの研究所やNASAに就職できていたら、迷わずそこで全力フルタイムで仕事に打ち込んでいたと思う。
でも僕は英語が苦手だし、そんなところに入れるほどの技術力もない。さらに、国内を見てもそういうことをやる会社は存在しない。だから
「そういう会社がないのだから、自分で作るしかない」
って独立起業するのは自分にとっては自然なことだった。
それでベンチャーキャピタル巡りをして、当時バズり始めていたIoTの話にからめておもちゃみたいな絵空事を並べ立ててプレゼンしたが当然ながら出資してくれそうな投資家はいない。
10年経ったいま振り返ると、当時の自分はビジネスセンスのかけらもなくコミュニケーション能力もいまよりだいぶ稚拙で、さすがに出資者を見つけるのは無理だったのもうなずける。
ベンチャーキャピタルの中でとりわけ親切にしてくれたのがサムライインキュベートの榊原さん。
で、こう言われた。
「礒部さんみたいな技術得意な人がいま(2012年)やるならアドテクだよ。来週までにアドテクで企画持ってきてよ。フリークアウトの本田さんにつないどいたから本田さんにプレゼンしてきなよ。本田さんが認めたらサムライインキュベートからも出資するから。」
そういわれて、
(スーパーコンピュータやロボティクスがやりたいってこっちは言ってるのにアドテクだなんて、投資家ってのは相手の都合とか考えない人たちだなぁ。でも他にプランもないししょうがないか)
ってことでアドテクを独学したわけだが、当然ながらアドテクの「ビジネス面」にはあまり興味がない。そんな中途半端な状態でフリークアウトの本田社長とのミーティングに行った。
その場では、ネタがないので挨拶して終わり。当然、サムライインキュベートの榊原さんからも「礒部さんは起業家として失格だからもうこれ以上連絡しないよ」と切り捨てられてしまった。
しかし、もうアドテクの勉強に2~3週間使ってしまったし、他にやることも思いつかなかったからそれで会社作って、アドテクよりも少し分野を広げて「機械学習 x 広告・マーケティング」という看板で仕事を取りに行くことにした。
そんなこんなで数年して、サラリーマン時代の収入を結構超えるとこまで行ったので、それでサイドプロジェクトとして、一番やりたかったロボティクスのテーマとして、ドローンの自律飛行ソフトに取り組んだ。
しかし自己資金、しかも生活費を除いた余剰収入で出来ることは限界がある。自分ひとりで作ってたら何年かかるかわからない。アルバイト生をやとって戦力にしようと試みたが、バイト料払いながら色々経験を積ませて教えてもうそろそろ戦力になりそうだといったところで辞められてしまう。
といった経験をして、精神的にギブアップしてしまった。会社は存続させてはいたけど、時々仕事は受けることもあったが3年近くほぼニート。ゲーム三昧、好きな数学の勉強三昧、という日々。貯金はみるみる減っていく。
それで、お金やばいなーと思い始めた今年のGW, 今の会社の存在を知り、それが
「自分がやりたかったことそのものをやってる会社」
だった。ダメ元ですぐに応募。選考期間を経て運よく入社が決まり、今にいたる。
そういう経緯なので、ニート上がりだとしてもすぐにバリバリ働けるのは自分としては当然なのだ。
ではまた。